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2021.12.27

2021年のW12セールイベント振り返りレポート

 

今年も例年通り「W12」が開催されました。W12とは、12月12日に行われる恒例の大型セールイベントです。W12の特徴は、オンラインだけでは無くオフラインの店舗も多く参戦する点にあります。本記事では今年最後の大型セールイベントであるW12の振り返りレポートをお届けします。

 

今年のW12の概要

・2021年のW12は販売者、消費者共に参加意欲が低下していた

1か月前に行われたW11と比較すると、大手ECやオフラインの店舗によるW12の宣伝や割引の度合いは小さく、それに伴い消費者達の消費意欲も低下していました。また、W11から引き続き消費者達は、Eコマースにおける様々なプロモーションで翻弄される事に疲弊しており、どの様な割引やキャンペーンに対しても、理性的な行動をとる傾向にありました。

 

次項では、W12におけるオン・オフライン店舗の動向をまとめてご紹介します。

 

店舗の割引に関する動向

・京東(JD.com)、淘宝(Taobao)

京東、淘宝はそれぞれ11月25日と26日に、今年のW12のイベント開始時間・特典情報を発表しました。さらに京東は、他プラットフォームより早めの12月4日にW12向けの「300元以上お買い上げのお客様は40元引き」のキャンペーンを発表しました。淘宝は京東に続く形で、12月7日から「199元以上お買い上げのお客様は25元引き」のキャンペーンを発表しました。

 

・拼多多( Pinduoduo)

低価格をうりにしている拼多多は、12月6日から農産物に対する大幅な割引クーポンを配り始めました。

 

・Tmall

Tmallは12月10日、イベント開催間近になってようやく「200元以上お買い上げのお客様は20元引き」とのキャンペーンを発表しました。

 

・オフラインショッピングモール

メディアの報道によると、重慶・揚州などのオフラインショッピングモールは、W11の盛り上がりと比べて来店者数も割引の度合いも控えめになっていたそうです。

 

・オフライン店舗―「盒、「宁易

上海では、大手スーパーチェーンの「盒马生鲜」と、大手家電販売会社「苏宁易购」が大規模なセールを行いました。開店記念のキャンペーンを兼ねて、特別な会員優遇政策を打ち出しました。しかし、店に大行列が出来るほどの反響は見られなかったようです。

 

 

マーケティング動向

・W12のライブコマース

W12開催当日の夜、トップKOL兼ライバーの李佳琦(Austin)と薇娅(Viya)のライブ配信の視聴者数の平均は約2,000万人でした。彼らの日頃のライブ配信における視聴者数と比べると500万人の増加ですが、W11前夜の李佳琦と薇娅のライブにおける平均視聴者数は約2億人を超えていたため、大きな成功とは言えない結果となりました。

 

・SNSで見るW12の盛り上がりは

W11の前日は、多くのユーザーがセールイベントに参加した事で「タオバオアプリ崩壊」という話題がWeiboで一時ホットトピックになりました。対照的にW12では「W12返品」というワードがトピックに上がる以外の目立った話題性は無く、盛り上がりの差は歴然としたものとなりました。

 

 

 何故W12は盛り上がらなかったのか?

・これまでのW11とW12の関係性が崩れた

例年W11とW12は互いに補完し合う関係にありました。W11の熱を年末まで維持する為、12月12日にもう1度セールを行うという相乗効果を図った政策でした。例年に比べて今年のW11は、多様なキャンペーン手法が見られ、W11の累計売上高はTmallが5,403億元(約9兆6,000億円・前年比8.45%増)、京東が3,491億元(約6兆2,000億円・前年比28.58%増)と、昨年よりも成績を上げました。しかし、多くの人々がセールに参加し買い物したことで、消費意欲はかなり消耗し、例年通りW12で沢山の商品を購入する情熱が失われていたと考えられます。

 

・多様なマーケティング合戦の結果、消費者も疲弊した

現在、ブランド達は限られたトラフィック(※)を様々なマーケティングで奪い合う状況に陥っています。プラットフォーム内の広告費用や、現在流行りのライブコマース及びトップライバーのキャスティング費用など、中国のECで台頭しているいずれのマーケティング手法はコストが高まり続けています。

 

このマーケティング合戦が激しくなるにつれ、消費者は疲弊し、今年のW12では理性的な行動を取る事になったと考えられます。W12の当日にWeiboで行われたアンケート調査によると、「W12は必要ない、W11で十分に購入した」を選択した消費者が多く存在しました。また、W12ではW11よりもお得感が感じられなかったという消費者も少なくありませんでした。

 

※トラフィック…一定時間中のアクセスに伴う通信量やインターネットページへのアクセス数を指す

 

・W11開催時の炎上や不祥事が尾を引いた

上記に加え、消費者達を疲弊させたのが、今年のW11から引き続き話題となっていた様々な炎上や不祥事です。トップKOLのライブコマース売上偽証の疑いや、化粧品ブランド・ロレアルの割引差異による炎上、トップライバーである雪梨(Sherry)の脱税によるタオバオの店舗閉鎖等の事件などが大手プラットフォーム上で議論されており、W12へ悪影響を及ぼしたと考えられます。

 

今後の大型セールイベントにおける”マーケティング合戦”はどうなる?

申万宏源の調査データによるとアリババにおける顧客獲得単価は、2019年で1人当たり800元(約1万4,000円)程度だったのが、2021年前半には約2倍の1,600元(約2万8,000円)に高騰しており、高スピードでコストが上昇しているようです。各ブランドやメーカーは、あらゆるマーケティング手法を駆使しても売上を大きく成長させることはできないと判断し始めています。

 

・日本のブランドはどのようにマーケティング合戦に挑めばよいか

まず日本企業は、商材によって選ぶマーケティング手法や販売チャネルが異なる為、自社の製品に適したセグメントを探し出し、中国の消費者に求められるにはどうしたら良いかを綿密に考える必要があります。その為には現地パートナーの力を借り、素早く変わる消費者意識や中国の市場状況を鑑みながら、臨機応変に戦略を組み立てる事が必要です。また、日本製は品質の高さから中国で高い評価を得ていますが、昨今の中国も商品の質が向上しており、「Made in Japan」のブランド力だけでは市場で負けてしまいます。現地のニーズを把握し、自社の製品の魅力を上手く伝える為のブランディングが必須です。

 

 

まとめ

今年のW12が盛り上がらなかったと言っても、中国消費者達にとってこの年末の2大セールは、毎年恒例の楽しみとして定着している為、来年のW12の存在を無視することは出来ません。普段より割り引かれているこのセール時期を狙って買い物をする消費者はW12にも多く居ます。また、W11は大手ブランドが大きく目立ちよく購入されるが、W12では目立たなかったブランドにも消費者の目が向きます。W11でスポットが当たらなかった、まだ知名度の低い中・小規模ブランド達にとってはチャンスと言えるでしょう。

 

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