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2021.06.30

食品・飲料業界の新興ブランドから読み解く”デジタルマーケティング戦略”

本記事では、食品・飲料業界の新興ブランドが実行している“デジタルマーケティング戦略”について分析しています。プロモーション手法や公式チャンネルの運用方法についても、詳しい成功事例と共にご紹介しておりますので、中国進出におけるマーケティング戦略の一助となれば幸いです。

 

 

市場を切り開く”新興ブランド”

食品・飲料業界ブランドへの投資・融資が活発化

本調査の対象となった新興ブランドで、1億元以上の融資を受けたブランドは全体の35.5%、追加融資を受け事業拡大したブランドは12.9%に上りました。投資・融資を多く受けられた商品カテゴリーは、ミールリプレイスメント・エネルギー補給食、インスタントフード、コーヒーです。

 

 

新興ブランドにおける注目の製品ワード

食品・飲料業界の新興ブランドにおいて注目されている製品は”预调酒”(缶詰・瓶詰のカクテル)、“奶酪棒”(チーズスティック菓子)、“咖啡冻干”(フリーズドライ製法のインスタントコーヒー)、“鲜炖燕窝”(インスタント燕の巣)です。

 

 

新興ブランドで注目されているブランド

新興ブランド消費者層が最も注目しているブランドは、ミルクティーの大手2ブランド”奈雪の茶”と”喜茶”です。ミールリプレイスメント・栄養食品カテゴリーで急成長している2ブランドは”好麦多”と”小仙炖”です。

 

 

新興ブランドのメイン消費者層分析

キーワードは”若年層””上位ランク都市在住””オンラインショッピング好き”

新興ブランド消費者層は、若年層且つ上位(一線都市二線都市)ランク都市に住んでいる人の比率が高いです。

 

 

Wechatミニプログラム※の利用状況データ

新興ブランド消費者層は、最新のインターネットショッピングを積極的に試す傾向があり、特にコミュニティEC類のミニプログラムを好んで利用しています。

 

Wechatミニプログラム:Wechatアプリの中に搭載される個別のプログラム。インストール不要で軽量なアプリの様なもの。

 

  

新興ブランドのデジタルマーケティング能力と4つのステップ

ブランド影響力を高める4つのステップ戦略

新興ブランドは、デジタルマーケティング※に注力しており、

(1) ”声量认知”(露出度・認知度向上)、(2) “心智影响”(顧客のマインドに浸透する)、(3)“消费转化”(購入意思決定を促す)(4)“私域运营” (公式チャンネル運営) という4つのステップを踏んで消費者へのブランド影響力を高めています。

 

デジタルマーケティング:検索エンジンやWebサイト、SNS、メール、モバイルアプリなど、あらゆるデジタルテクノロジーを活用したマーケティングを指す。

 

 

次項では、実際に新興ブランドが行っているマーケティング施策を参考事例としてご紹介しながら、4つのステップについてそれぞれ解説していきます。

 

 

”声量知”(露出度・認知度向上)

ブランドがコンテンツ投稿のプラットフォームでプロモーション活動を行い、露出度を高めることで多くのネットユーザーにブランドのことを認知させる段階。

 

声量知”で成功を収めた代表的な新興ブランド

“喜茶””元气森林””奈雪の茶”の3ブランドは、ソーシャルメディアにおいて知名度ランキングTop3を誇るブランドです。既に若者達の間では、国民的ブランドとして定着しています。

 

 

声量知”の影響が顕著に表れる商品カテゴリー

KOL※によるコンテンツ発信が盛んな商品カテゴリーは、ミルクティー系飲料です。ミルクティー系飲料は、購入後”映え写真”や動画などをSNS上へアップロードする事が消費者間で常習化されており、この行動パターンがブランド認知速度を高めています。

 

※KOL : Key Opinion Leaderの略称。本記事では、公式アカウントやWeibo、TikTok、Kuaishou、Redで情報発信をし続け、影響力を生み出している個人または組織を指す。

 

 

“心智影响”(顧客のマインドに浸透する)

コンテンツ(記事・動画)発信、販促イベントなどを通じてユーザーと交流し、ブランドのことをユーザーに強く印象づける段階。

 

心智影响”で新興ブランドが積極的に採用するプロモーション手法

各ブランドは、様々な手段を用いてファンと商品の交流を促しています。有名人・芸能人やKOLを起用し、ファン向けコンテンツ広告を出す事や、話題を提起してファンの意見やコメントを募り、コミュニケーションを活発化させる事で、ブランドの刷り込みを行っています。

 

 

心智影响”によるプロモーション事例

1.記事や動画によるプロダクトプレイスメント※(左図)

無糖・カロリーゼロの商品で有名な炭酸飲料メーカー”元気森林”は、グルメ系KOLのコンテンツで露出を開始しました。グルメレビュー動画の中で、KOLに元気森林の商品を飲んで貰い、視聴者に元気森林のことを憶えてもらう狙いです。

※プロダクトプレイスメント : (英: product placement)映画やテレビドラマの劇中において役者の小道具や背景に、実在する企業名・商品名(商標)を登場させ、視聴者の意識や記憶に刷り込みを行う広告手法。

 

2.イベント・キャンペーン施策(中図)

若者から人気を博している中国白酒の“江小白”は、「江小白Justbattle選味出道(ストリートダンスコンテスト)」というイベントを主催しPR活動を行いました。イベントでは、自分の好きな”味”としてダンサーを選出するなど、随所に商品の情報が組み込まれており、コンテストを楽しむ中でファンは強くブランド名を記憶に刻み付けていきます。

 

3.新商品を共創する(右図)

人気飲料チェーン店”蜜雪冰城”は、「蜜雪冰城でどんな商品が飲みたい?」をテーマに、ソーシャルメディアで新商品のアイディアを募集しました。その結果、多くの意見やコメントが公式チャンネルへ寄せられ、大きな反響を呼びました。

 

 

“消费转化”(購入意思決定を促す)

コンテンツやチャンネルから、販路である各ECプラットフォームへユーザーを誘導し、購入の後押しをする。宣伝広告から顧客消費へと転換する段階。他の手法としてKOLによる中継販売なども挙げられる。

 

新興ブランドの主な販路

多くの新興ブランドは、KOLたちを通して商品を拡販する取引を行っています。食品・飲料は、「商品単価が安く、大きく割引出来る」というメリットがある為、消費者の購買意欲を喚起しやすい商材です。その為、ライブコマースキャスター1人当たりが売り上げる商品数量は大きな数字となっております。

ライブ配信界における出荷数の多い人気商品カテゴリーは乳製品です。次にミールリプレイスメント・エネルギー補給食品となっております。

 

 

“私域运营” (公式チャンネル運営)

新興ブランドは、ブランドのファンを維持するために上記マーケティング活動の他、公式チャンネル運営を重視し行う。フォロワーに繰り返し発信しつづけていく段階。

 

新興ブランドの公式チャンネル運営

マーケティング費用を抑えつつユーザーから長期的に支持されたい新興ブランドたちは、公式チャンネル(各SNSの公式アカウント“官方号“、Wechat のミニプログラム”微信小程序”、独自アプリ)の構築に力を入れています。

各ブランドは、アプリ等で便利な機能やサービスを提供する事に加えて、公式チャンネルから良質なコンテンツを配信し続けることで、ユーザーとの感情的な繋がりを深めていきます

 

 

新興ブランドのオフィシャルチャンネルの典型的運用事例

1.Wechatミニプログラム運営(左図)

最大手のタピオカミルクティーチェーン店”喜茶”は、オンラインとオフラインの両方でプロモーションを行うことで、効率的にミニプログラムへ消費者を集客しています。ミニプログラムには商品を注文する機能が搭載されており、ユーザーは広告で興味を持った商品を、そのまま注文する事が出来ます。さらに喜茶は、会員制度を利用してリピート購入も促しています。(運営効果:プロモーション→消費→会員→リピート消費)

 

2.SNSチャンネル運営(KOLを通して情報拡散)(中図)

Minayoは、ソーシャルメディアPFでKOLを多数起用し、良質なコンテンツを発信し続ける事で露出を高めています。同時に、そのソーシャルメディアPF内のEC店舗を受け皿にして、視聴者へ購入を促します。(運営効果:コンテンツPFで、コンテンツを見た→コンテンツPFですぐに買って試すというサイクル)

 

3.独自アプリチャンネル運営(右図)

当初“薄荷健康”は、健康管理アプリケーションで市場に参入しました。その後、自社で健康・栄養食品ブランドを立ち上げ、アプリのユーザーに向けて食品の発売を開始しました。(運営効果:便利な機能でユーザーを惹きつける→良質なコンテンツ“健康管理に関する情報発信“で健康意識の高いユーザーを引き付ける→ニーズに応じて自社ブランドを売り込むというサイクル)

 

 

まとめ

以上、食品・飲料業界の新興ブランドが行っている、デジタルマーケティングの4つのステップについてご紹介しました。

 

分析の結果、デジタルマーケティングは、一見プロモーションの華やかさや派手さによって効果が表れているように見えますが、緻密に練られた戦略によって成立するマーケティングである事が分かりました。また、一過的な売上を得るに留まるのではなく、長期的にブランドが利益を得られるような仕組み作りまで行った事が、新興ブランドたちが成功を収めた理由であると考えられます。

 

公式チャンネルの運用方針や、自社で発信した情報がどう受け取られるか、どう拡散されるかなど、消費者の行動サイクルを考えた上で、しっかりとした戦略を立て実行する事が重要です。

 

ポリスターではこれからも、中国進出で長期的な成功を目指す企業様へ、最新の市場動向や中国国民の文化・価値観に即した施策やサポートをご提案していきます。

 

 

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