2025.05.27
第17回東西部小動物臨床獣医師大会、盛況のうちに閉幕
― フランス・GL eventsとの戦略提携を発表、中国ペット医療のグローバル展開が加速 ―
2025年5月21日から3日間にわたり、中国・厦門国際会議展覧センターにて開催された「第17回東西部小動物臨床獣医師大会」は、過去最多となる21,708名の獣医師が来場し、50,000㎡超の展示スペースには約1,000社のディーラー企業、2,000以上のペット医療関連ブランドが出展。2,500を超える新商品・限定商品が一堂に展示され、会場を彩りました。
また、国内外から26の専門講座が同時開催され、500名以上の専門家・研究者・企業代表が登壇。臨床、研究、経営の各分野における知見を共有する、中国獣医療界最大級の学術・産業イベントとなりました。
日本からは、一般社団法人 日中ペット産業振興会の招きにより、越村義雄会長が率いる獣医療・動物病院運営の専門家および関連企業の代表10名が参加しました。とくに注目を集めたのは、日本から招かれた専門家による一連の講演です。
FASAVA(アジア小動物獣医師会連合)現会長の石田卓夫先生は、犬と猫の腫瘍疾患および糖尿病をテーマに登壇。「Rapid in-house diagnosis of feline and canine tumors by cytology(病院内で迅速にできる犬と猫の腫瘍の細胞診による診断)」では、一次診療施設でも実践可能な細胞診による腫瘍診断技術を紹介し、迅速な診断がもたらす臨床的意義を解説しました。また、猫医学の2講演では、猫の糖尿病の診断とモニタリング、治療に関する課題と最新の戦略を多角的に取り上げ、現場の実情に即した知見を共有しました。
日本獣医生命科学大学名誉教授・新井敏郎先生は、「加齢関連疾患(age-related disease)と慢性炎症性老化(inflammaging)」の関連性に着目した臨床栄養学の講演を実施。高齢動物の栄養管理が健康寿命や疾患予防に果たす役割について、最新の研究成果をもとに詳細に解説し、多くの聴講者から高い関心を集めました。
また、「救急」をテーマとしたプログラムでは、日本獣医救急集中治療学会の川瀬広大先生が、RECOVERガイドラインに基づいた心肺蘇生トレーニングを含む実践的なセッションを担当。参加者は国際基準に則った緊急対応技術を、実技を通して学ぶ貴重な機会を得ました。
さらに、日本動物病院協会(JAHA)会長・宗像俊太郎先生は、「人と動物の共生社会の実現」をテーマに講演。動物病院が地域社会で担う役割や、JAHAが推進する社会貢献活動について紹介し、獣医療の枠を超えた新たな価値創出への展望を提示しました。
大会最終日には、フランスのグローバル展示会運営企業 GL events社(GL events China Limited)が、大会主催者である东西博纵(無錫)有限公司の株式69%を取得し、戦略提携を完了したことが正式に発表されました。この提携により、GL events社の国際的ネットワークと現地パートナーとの連携が強化され、中国のペット医療産業のグローバル展開が一層加速すると期待されています。
今後は、東西部大会をはじめ、アジア小動物専門医師大(ASASVC: Asian Small Animal Specialist Veterinary Conference)、東西部国際エキゾチックアニマル大会(East and West International Exotic Pet Conference)などを通じて、世界水準の病院運営や診療技術の導入、学術交流・情報発信を強化し、中国市場に根ざした持続的な成長を目指してまいります。
株式会社ポリスターは、東西部小動物臨床獣医師大会の日本事務代表として、日本および中国の獣医療関係者の連携強化に取り組んでまいりました。今後も引き続き、両国ならびにアジア諸国間における学術・技術交流、人材育成、そしてペット医療の発展に貢献してまいります。
本大会を契機に、日中両国の獣医療分野における専門的な交流がさらに進展し、両国のペット医療業界の持続的な発展に寄与することを心より願っております。