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2021.09.01

日本製食品の可能性「中国の高齢者向け食品市場」に注目

 

中国の高齢者向け食品市場は日本の数倍大きく、また年々拡大し続けています。本記事では中国の高齢者向け食品の市場動向から、日本製食品の可能性を分析致します。中国進出をする日本企業様のマーケティング戦略の一助となる情報になれば幸いです。

 

記事資料ソース:Ageclub

 

中国高齢者向け食品の現状

・中国高齢者向け食品の主な商品ジャンル紹介

▲血糖値の高い高齢者へ向けた、砂糖不使用のお菓子(ECプラットフォームTaobaoより引用)

 

中国の高齢者向け食品は主に、とろみ剤・レトルト食品・粉ミルク・無糖菓子の4ジャンルに分けられます。中でもECプラットフォームではサプリメントや無糖菓子、オフラインのスーパーマーケットでは高齢者用の粉ミルク・シリアル・胡麻やレンコン粉のとろみ剤が陳列され、その横に無糖のビスケットやパン、スナック菓子がそれぞれ販売されていました。

 

 

・中国高齢者向け食品の問題点

中国では「高齢者向き」と表記されていても、高齢者のニーズを満たしていない商品が多くあります。例えば中国産とろみ剤食品の多くは、単純に穀物を粉砕しただけの物で栄養価が意識されていません。高齢者の健康の為にも、現在商品の品質向上が強く求められています。

 

 

変わりつつある「高齢者向け食品」への意識

・中国政府の対応

2018年9月、中国国家衛生健康委員会は『食品安全国家標準老年食品通則』を発表し、企業等へ開発時の基準策定の為に意見を募りました。『健康中国2030』では、高齢者の健康を重要な項目として取り上げ、更に『国家栄養計画(2017-2030)』では、高齢者の栄養素改善行動の実施を、社会全体へ訴えかけました。

 

中国市場は一連の国家基準の策定により、高齢者向け食品の発展に向けて大きく動き始めており、近い将来急成長していく事が予想されます。

 

 

・具体的な変化―易消化食のかたさの基準を策定

中国食品業界は『高齢者向け食品通則』によって、日本・アメリカなどの国家基準を参考に、易消化食のかたさや粘度を6つ(※1)に策定しました。この策定は、高齢者の咀嚼・嚥下機能の低下に適した易消化食を開発する為のものです。これらの変化は、易消化食の製造者達にとって重要な指導書となり、業界の発展を後押ししています。

 

※1…软质型(ソフト度)、细碎型(粉砕度)、细泥型(より細かいペースト度)、高稠型(低粘稠度)、中稠型(中粘稠度)、和低稠型(高粘稠度)の6つ

 

 

・具体的な変化―高齢者施設がマーケティングに「食」を取り入れ始めた

中国の高級介護施設は、易消化食品をベースに工夫を凝らした介護食や献立で、他の介護施設と差別化を図っています。民間経営の養老院を始めとした介護施設は、高級化を進めることで収益課題を解決したいという欲求があります。施設同士が高級化に向けて献立や易消化食品による施設の差別化を図る事で、高齢者向け食品への考え方や品質はより変化していくでしょう。

 

 

・具体的な変化―問題点をクリアした商品が発売される

2019年 旺旺グループ会社が「愛至尊」シリーズを発売しました。愛至尊は「高齢の方への優しい心遣い」をコンセプトにした、無糖無添加の安心・安全な商品シリーズです。高齢者の食生活の多様化や需要に応じて、必要な栄養素が摂取できます。中でも「赤ナツメ」と「生姜と鶏肉スープ」のとろみ剤商品は、栄養面だけでなく美味しさも追及することで、多くの消費者に受け入れられています。

 

 

日本製・高齢者向け食品の可能性

・市場の規模

中国の普华永道の調査データによると、中国の高齢者層の年間平均消費額は1人あたり約22,600元(日本円で約38万円)、その内食品・飲料の消費額は7,972元(約13万円)を占めており、中国高齢者層の食事に関する消費の割合は、年間平均消費の35%と大きい傾向にあります。中国の高齢者向け食品市場は日本の数倍大きく、市場参入で利益を上げられる可能性を十分秘めています。

 

 

・日本製食品のイメージ

中国市場での日本製の食品は”安心安全”のイメージが強く、品質における需要が高いです。日本ブランドは、栄養面でも消費者へ強く信頼感を与えられます。また、調理方法や味、食べるシーンなどに対して開発を行っており、商品のラインナップが豊富である点も日本食ブランドの魅力の1つであると考えられます。

 

 

・中国で注目されている日本の高齢者向け食品

 

キューピー株式会社の介護食シリーズは、中国でも流通しており、非常に多くの支持を得ています。このシリーズは、食材のやわらかさが4種類に分類され、高齢者の噛む力・飲み込む力に合わせて購入出来ます。噛む力に合わせた食品は中国では珍しく、現在58品目が1食12~15人民元(約220円前後)で販売されています。また、開封後すぐ食べられる半調理品も中国では人気です。

 

 

まとめ

中・高齢者層というターゲットに対してほぼ無関心であった中国の食品ブランド達は、中国政府の国家基準策定により、徐々に商品開発への意識を変え始めています。発展途上である現在が、日本食品メーカーの好機であると考えられます。

 

中国に進出するには、クリアしなければならない障害がいくつかあります。食品の輸出入における規制など、様々な問題に取り組まねばなりません。

 

ポリスターでは、中国進出のトータルサポートを行っております。市場調査やブランディング・プロモーション、販路開拓やリスク管理まで可能です。中国進出する日本企業様の悩みや疑問に”オーダーメイド”のサポートで応えていきます。

 

 

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