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2021.02.26

2021年度「年貨節」中国の消費者トレンドレポート

中国では、春節(中国の旧暦のお正月)休みの前に家庭用や贈り物として、食品・アパレルや日用品などの様々な商品を買い溜めする習慣がある。春節前に購入するこれらの年越し関連グッズを「年貸」と総称しており、今年、EC業界でその習慣を利用して「年貨節」と言うセールイベントが作りあげられている。日本でも年末年始にセールを行う習慣があるが、中国でもこうした流れがあり消費規模や意欲も大きい。

 

今回はこの年貸節に関して情報を取り上げていく。直近の春節の振り返りと共に、日本メーカー様の販売戦略の一助となれば幸いだ。

※本記事のデータは、中国で有名な調査会社「CBN DATA」「TaobaoライブコマースON MAP」から一部を引用している。

 

「年貨節」消費の概況

・EC利用者数と客単価の上昇が年貨節セールの成長を牽引している。消費者はイベント開催期間中に注文する傾向が強く見られる。

セールイベントの期間が長くなり、より幅広い層の消費者が年貨節セールに参加することができた。また、客単価が上昇することで、2021年の年貨節セールの売上総額の増加を後押しした。
約3割の消費者がイベント予告期間で購入を行い、7割以上の消費者が開催期間中に購買活動を行ったことがわかる。

 

・年越しグッズの主な購入者は女性消費者であり、特に95年以降生まれの新世代は中国の伝統的なお正月の儀式感をますます追求している。

女性は男性よりも一人当たりの消費額が多く、年貨節セール売上総額の65%以上を占めている為、年越しグッズマーケットの絶対的な柱だ。 また、若い世代は中国の伝統的なお正月の風習に関する気持ちが強くなっており、95年以降生まれの新世代の年越しグッズの消費額はやや増えている。

 

伝統の味とその背景

※参考資料:年越しグッズ 食品消費の地域分布図

 

 

・ライブコマースで新たに人気となる年越しグッズを生み出し、今年の「現地で年越しする」為のお一人様用お正月グルメでも様々な選択肢があった。

今年は新型コロナウィルスの影響もあり、故郷へ帰省せずに現地で年越しをする消費者も多くいた。そこで今年は、現地で年越しする為のおひとり様用のお正月グルメが豊富に出揃った。特にここ2年間でライブコマースを通じた年越し用商材の販売が多く見られる。 特にインスタント食品とドリンクの成長が最も著しく、これらの組み合わせでお手軽に食事を楽しめることができている。

 

・セール期間中には、健康志向の食事代替機能食品も大人気を博した。

年貨節セールにおけるスムージー市場において、1・2ランクの都市ではチョコレートや桃味などのフレーバー、3・4ランクの都市では小豆やミルクティー味などのフレーバーが好まれる傾向があった。

 

 

伝統の風習とファッション

・年越しの風習のO2O化~「福」文字貼り付け文化の変化

中国のお正月では、人々は「福」の文字が書かれたポスターをドアや玄関、リビングの壁などに貼り付けて「福きたる」を祈っている。そこで年貨節セールにおいては「福」文字の貼り物に関する消費が大幅に伸びた。また、アリババオンライン決済サービスのAlipayでは、オンライン上で「福カード収集」イベントを仕掛け、一定数の「福」カードを集めたユーザーにAlipayからのお年玉(現金)がもらえるゲームを行った。このようにユーザーを巻き込みながら、オンライン世界でも伝統風習で賑わう様相を見せた。

 

・「新中国風」のお正月飾りを好むZ世代は、常に新しいものにチャレンジする傾向にある。

2021年1月、「新中国風」インテリアデザインに関わる検索数は前年に比べて大幅に増加している。 中でもZ世代による検索数の伸び率が最も高く、現代の装飾画や装飾品、花瓶や壁飾り、カーペットなどを購入する際に参考にしているようだ。

※「Z世代」とは、90年代後半から2009年までに生まれた世代のことを指す。

 

・コロナ禍で巣ごもりのエンターテインメントが多様化~若者の間ではゲーム、お年寄りでは「十二生肖キャラクターのブラインドボックス」が大人気だった。

今年はコロナの影響で、巣ごもりのエンターテイメントがさらに注目されている。年貨節セール時期にはゲーム機や麻雀卓、ボードゲームの消費量が大幅に増加している。特にお年寄りの中で、「十二生肖キャラクターのブラインドボックス」が大ヒットし、なんと1人あたり5個のブラインドボックスを購入していることがビックデータにより判明した。

 

・新しい消費動向として、お正月中のエンターテインメントを楽しむ為のEチケットが販売された。

2021年の年貨節セールにおいて、映画やコンサート・スポーツのチケット、美容院・エステの利用券、レストランの食事券などサービスがEチケットとして売れていた。特に、お正月期間中に上映予定の映画のEチケットの販売量は最も著しかった。超人気ライブコマース配信者「薇娅」さんは、映画「唐人街探案3」のEチケットをライブ配信で100万枚以上売り切り、同じく超人気配信者「李佳琦」さんは、映画「侍神令」のEチケット計2万枚を一瞬で売り切った。

 

中国産ファッションブランドが巻き起こす新しいブーム

・お正月時期の雰囲気に合ったドレスアップ~中国のファッションブランドが出品するアパレルが人気になり、赤と黒を基調としたクラシックな色合いが人気を示す。

ここ2年間の年貨節セール時期では、中国のファッションブランドの出品するアパレルの消費が上昇傾向にあり、シェアも大きく伸ばしている。 特に若い世代が主な消費者層となって成長を維持している。また、春節色と呼ばれる「赤」は最も人気であり、消費規模は他の色合いよりはるかに上回っている。その次は黒であり、クールな雰囲気で若者のマインドを獲得している。

 

・パッケージにこだわったギフトが若者に好まれ、特に食品カテゴリでは、パッケージの競争が極めて激烈である。

お正月のギフト消費は、主にスナックやナッツ、お土産や酒・お茶などの食品カテゴリーに集中している。消費者の年齢層では85年~90年以降生まれ、95年以降生まれの世代が主要な消費者となり、00年(2千年)以降の消費者も大幅に増えた。また、消費者はパッケージデザインがユニーク且つ見た目が美しいものに興味を持ち、各社の競争はますます激しくなっている。

 

・アクセサリーの販売がライブコマースを通して急速に伸び、中でも「大吉大利」と「福」の文字のモチーフにしたものが流行っている。

ここ2年間でライブ配信者や有名人の宣伝によって、年を過ごすのに着飾るアクセサリー商品がTaobaoライブコマースで売れており、Eコマースの中でのシェアが年々伸びている傾向にある。特に「大吉大利」「福」「発財」文字をモチーフにした商品が、ライブコマースの売れ筋商品ランキングのトップ5となっている。

 

 

今回は年貸節セール時期のデータを基に、春節休みの振り返りを行った。
このように伝統的な風習にオンラインが絡むことでO2O化が進み、消費が促進しているという現象が起こっている。先述の若い世代の伝統的な風習に関わろうとする気持ちも相まって、今後もこうしたデジタルとの融合化は益々進んでいくことであろう。
中国では年間を通じて有名なセールイベントが名を連ねているが、今回の年貨節セールも是非中国での販売戦略において視野に入れて頂きたい。こうしたセールイベントも、様々な商材が集まる中国においては戦略立てて参入していくことが重要になる。是非とも中国市場においては相談できるパートナーを見つけ、共に成功を目指していってほしい。

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